
このヒマワリの図版——頭状花序・小花・舌状花・両方向に数えた螺旋線まで、すべてラベル付き——はプロンプト1つでできています。画力もベクターソフトも不要、所要時間は2分ほど。この記事ではその作り方をすべて分解します:題材の選び方、ラベルが正しく描画されるプロンプトの書き方、結果の直し方、そして使う前の検証まで。
最初の1枚を生成する · プロンプトの型へ跳ぶ · 実例をもっと見る
科学イラストが失敗するパターンは2つしかありません。描く内容が間違っているか、ラベルが読めないか、です。美しさは加点項目、正しさは必須条件。以下のワークフローは、まさにこの2つの失敗モードを中心に設計されています——プロンプトは正しい構造を強制するためにあり、最後のステップはモデルが描き間違えた部分を捕まえるためにあります。
プロンプトの言語について:本記事のプロンプトはすべて英語のまま掲載します。理由は2つ。図版に描画されるラベル文字(CAPITULUM など)が英語であり、再現性を保つには一致させる必要があること。図中の短いラベルは英語の大文字が最も安定して描けることです。本文の説明は日本語で書いても問題ありませんが、引用符の中のラベルは英語のまま残すことをおすすめします。
作業前にそろえる3つのもの
どれも画材ではありません。
- 十分に絞り込んだ題材——「水循環」は1枚のダイアグラム、「水が葉の中をどう動くか」が1枚のイラストになります。
- 信頼できる参考文献:教科書の該当ページ、大学の実習テキスト、論文の図。第4ステップで照合します。
- ラベルのリスト——完成図に必ず記したい3〜6個の構造。プロンプトを書く前に書きます。ラベルリストこそが設計仕様であり、図はラベルを指すために存在します。
第1ステップ:題材を選び、専門用語を「借りてくる」
想像ではなく参考文献から出発します。資料を開き、そこで使われている構造名をそのまま書き写してください。くだけた言い方ではなく専門用語で。「おしべ・めしべ」ではなく「雄しべ・雌しべ(stamens, pistil)」、「あの管」ではなく「火道(conduit)」。
冒頭のヒマワリ図版で、参考文献がくれた語彙は 頭状花序(capitulum)・舌状花(ray floret)・小花(disc floret)・螺旋配列(parastichy)の4語。この4語が以降のすべてを決めました——モデルが「大きな花盤+小花のクローズアップ+螺旋の重ね描き」という構成を描いたのは、ラベルが置ける場所を必要としたからです。
| 題材 | ヒマワリの頭状花序(植物学) |
| モデル | grok-imagine-image-2.0(glmimage.app で生成) |
| アスペクト比 | 16:9(1792×1024) |
| ラベル | CAPITULUM、RAY FLORET、DISC FLORET、PARASTICHY |
| うまくいった点 | 3パネル構成が明瞭。螺旋が数えられる。ラベルが図の外側に余裕をもって配置 |
| 使用前の確認 | 螺旋数はフィボナッチ数(21/34/55)になっているか。ヒマワリの舌状花・小花の区別がキク属の誤描画になっていないか |
元になったプロンプト:
A mathematical-botany plate of the sunflower head: whole capitulum, a disc-floret
close-up, and an overlay spiral diagram showing Fibonacci parastichy families
counted and numbered in two directions. Label "CAPITULUM", "DISC FLORET",
"RAY FLORET", "PARASTICHY". Title: "COUNTING SPIRALS".
このプロンプトが何をしているかに注目してください。パネルを名指しし、ラベル語彙を固定し、図版に短いタイトルを与えています。ムードを描写しているのではなく、図面を仕様として指定しているのです。
第2ステップ:プロンプトを書く
本ガイドのすべてのプロンプトは同じ5スロットのテンプレートを使います。
A [STYLE] plate of [SUBJECT]: [MAIN VIEW], [INSET OR SECOND PANEL],
[WHAT THE INSET SHOWS]. Label "LABEL 1", "LABEL 2", "LABEL 3",
"LABEL 4". Title: "SHORT TITLE".
スロットの埋め方:
| スロット | 何を制御するか | 例 |
|---|---|---|
| STYLE | 図版全体の画風 | botanical plate, textbook diagram, museum infographic, cutaway, field-guide page |
| SUBJECT | 何を描くか | animal cell, stratovolcano, bicycle drivetrain, DNA double helix |
| MAIN VIEW | 主な視点 | top view, cutaway, cross-section, Z-scheme flow |
| INSET | ラベルを支える詳細パネル | magnified organelle, close-up of florets, calculation panel |
| LABELS | 3〜6語。引用符・大文字で | 図版サイズでつづりが合う程度の短さに |
| TITLE | 図版に印刷するタイトル | 2〜4語、大文字 |
他より重要な3つのルール:
- ラベルに引用符を付ける。 引用符で囲まれたラベルは、文の中に埋め込まれた名詞よりはるかに安定して文字として描画されます。
- ラベルは6個まで。 1個増えるごとにスペルミスの機会が増え、引出線が混線します。正しい6個が、いい加減な12個に勝ります。
- 詰め込まず、パネルで指定する。「大きな断面図+拡大インセット1枚」は読める図になります。「全部同時に見える」はお粥になります。
同じテンプレートを細胞生物学に適用すると:

A large cutaway animal cell with its organelles arranged realistically, each
organelle shown once with a short functional caption beside it in a small grid
around the cell. Label "NUCLEUS", "MITOCHONDRION", "ROUGH ER", "GOLGI",
"LYSOSOME". Title: "THE ANIMAL CELL".
| 題材 | 動物細胞の細胞小器官(生物学) |
| モデル | grok-imagine-image-2.0(glmimage.app で生成) |
| ラベル | NUCLEUS、MITOCHONDRION、ROUGH ER、GOLGI、LYSOSOME |
| うまくいった点 | 5つのラベルがすべて正しく描画。細胞小器官の配置が妥当 |
| 使用前の確認 | 粗面小胞体は核の近くにあるか。キャプションが別の細胞小器官に付いていないか |
第3ステップ:生成したら、査読者のように読む
生成したら、感心する前に問い詰めます。ラベルは全部あるか。つづりは合っているか。正しい構造を指しているか。左右反転や、架空の構造はないか。
地球科学の例を、プロンプトから完成図まで:

A stratovolcano cutaway from crater to magma chamber: layered lava and ash
strata, central conduit, branching dike and horizontal sill, and convection
swirls within the chamber, eruption column above. Label "CRATER", "CONDUIT",
"DIKE", "SILL", "MAGMA CHAMBER". Title: "ANATOMY OF A VOLCANO".
| 題材 | 成層火山の内部構造(地球科学) |
| モデル | grok-imagine-image-2.0(glmimage.app で生成) |
| ラベル | CRATER、CONDUIT、DIKE、SILL、MAGMA CHAMBER |
| うまくいった点 | 岩脈(ダイク)とシルの区別が正しい(岩脈は地層を切る、シルは層に沿う) |
| 使用前の確認 | 地層に対するシルの向きを確認。噴火柱と火道の幾何が一致しているか |
間違いを見つけたら、プロンプトの中で名指しして直します:「the sill must be horizontal, between two strata layers(シルは水平で、2つの地層の間にあること)」。振り直して運に頼るより確実です。1回の生成では1つの修正だけ。すでにうまくいっている部分を守るためです。機械の題材でも同じです——次の自転車の駆動系の図は、「変速比の計算パネル」を明示的に書き込んだことで、見た目だけのギアの寄せ集めに退化せずに済みました:

第4ステップ:使う前に参考文献と照合する
AIの出力は、人が確認するまで下書きです。このステップが「それっぽい」を「実際に正しい」に変える工程です。
下の図は、検証そのものの姿です。生成された心臓の断面図を2枚並べ、欠陥のある版にはエラーを丸で囲んでいます——心腔の左右反転と、余分な血管。

すべての図をこのチェックリストに通します:
検証チェックリスト
- [ ] すべてのラベルのつづりは正しいか?
- [ ] 指定した構造はすべて描かれているか?
- [ ] 参考文献と比べて、位置と比率は妥当か?
- [ ] 矢印は正しい方向を向いているか?
- [ ] 段階は正しい順序で並んでいるか?
- [ ] 信頼できる情報源と照合したか?
1項目でも落ちたら、第3ステップに戻ってプロンプトで修正するか、ベクターエディタで手直しします——直したらその旨を明記します。授業での使用なら「AIで下書き、人が検証」という注記は誠実な做法であり、求められつつあります。出版や公開向けのサイエンスコミュニケーションでは、AIの下書きを下絵としてきちんと仕上げます。
1つのプロンプトで12の題材をカバーする
テンプレートはスロットなので、題材を変えても書き直す必要はありません。ヒマワリのプロンプトの主語行を差し替えるだけ:
rose flower dissection——花弁・雄しべ・雌しべ・花托hibiscus flower anatomy——柱頭・花柱・子房・雄しべ柱daisy flower head——舌状花・小花・総苞片lotus flower cross-section——花托・蓮の果床・花弁の着生位置
構造はそのまま、語彙は第1ステップの参考文献から、検証は第4ステップと同じ。これが方法の全体であり、分野をまたいで展開できる理由です。植物イラストのプロンプト集と動物イラストのプロンプト集はそれぞれの界に適用し、人体解剖図のプロンプト集は検証基準が最も厳しい場所で適用します。
科学イラストを台無しにする5つのミス
- 図ではなくムードを描写する。「きれいな細胞の科学アート」は壁紙になります。パネル・視点・ラベルが図面になります。
- **ラベルが多すぎる。**6個を超えるとスペルミスが倍増し、引出線が絡みます。
- **最初の「それっぽい」結果を信じる。**左右反転した解剖や架空の構造は、もっともらしく見える——第4ステップが存在するのはこのためです。
- **モデルに語彙を作らせる。**プロンプトで用語を固定しないと、ミトコンドリアは「エネルギー工場」とラベルされます——もっとひどい場合もあります。
- **読者スロットを省く。**中学生の教材図と論文図では、ラベルの太さもインセットの数も別物です。スタイルは読者に従います。
よくある質問
理科の観察図や授業教材に使えますか?
はい。日本の理科教育では観察図・スケッチの指導が定着しており、教員側の教材としては特に相性が良い使い方です。授業用スライド、プリントの挿絵、観察の事前説明図として、AIで下書き→教科書・図鑑と照合→「AIで作成し、確認済み」と明記して使うのが安全な線です。生徒が提出する観察図そのものを代替するものではありません(そこは指導の対象です)が、観察前に「何を見ればよいか」を示す図としては即戦力になります。
日本語のプロンプトで書けますか?
説明文は日本語で書いても動きます。ただし図中に描画されるラベル文字は、現状アルファベットの大文字が最も安定しています(20図テストで確認)。折衷案として、プロンプト本文は日本語、Label の引用符だけ英語大文字を残す書き方が実用的です。日本語ラベルが必要な最終図は、ベクター化ワークフローで後から文字を打ち直せば、タイポの心配なく作れます。
授業や教材としての利用範囲は?
glmimage.app での生成物はサイトの標準利用規約に従います。図の科学的な正しさに関する責任は、いずれにせよ使い手にあります。学校の教材として使う場合は、出典と「AIで作成」の明記をおすすめします。
どんな分野が得意ですか?
構造が固定され、語彙が体系立っている題材が最も得意です。細胞、器官、機械の断面、地質断面など。正確な定量図(厳密な回路図・グラフ)は専門ツールの領域です。
今すぐ1枚作る
実際に必要な題材を1つ選び、参考文献からラベルを書き出し、テンプレートを走らせてください。科学イラストのページには、解剖・植物・細胞生物学・工学・天文学など9分野のプリセットがあり、スタイルと語彙のスロットがすでに埋まっています。





